2009年 08月 24日
エトナの山の葡萄畑
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今回のシチリアの旅ではワイナリーも訪問しました。
そのうちのひとつ、BIONDIのciroさんに招待して頂いた
夕食会はエトナ山の葡萄畑にて。
Ronzini畑のテラスでパキーノのトマトサラダと美味しいパン、グリル、
それにカンティーナから持ってきた7本のワインを頂きます。
徐々に陽が暮れて薄暗くなってきたところで
アルフィオがランタンに、キャンドルに火を灯す。
ここにはあえて電気を引かないと話すチロ。
その方がワインの味わいをより感じられるんだ、と私達に語ります。
「OUTIS」の意味を尋ねてみると、彼はギリシャ神話の話を始めました。
シチリア島沖で難破してしまった英雄オデュッセウスたちは、
エトナ火山の中に住む一つ目の巨人キュクロプスに捕まり、
仲間たちを一人ひとり丸呑みにされてしまいます。
このままでは皆殺しにされてしまうと思ったオデュッセウスは、
この土地エトナで作られていた赤ワインを巨人に飲ませたのです。
その味にご機嫌となった巨人は彼の名を尋ね、
オデュッセウスは自分の名を「OUTIS オウティス」と名乗りました。
ワインに酔いしれた巨人が気持ちよく寝込んでしまった時、
オデュッセウスは彼の目を薪で突き立てることに成功します。
あまりの痛さに巨人キュクロプスが騒いでいると、仲間の巨人がやってきて、
どうしたのだ?誰にやられたのだ?と訊ねると、
「OUTIS オウティスだ。」と答えます。
なんだ、それなら誰のせいでもないのだろう、と仲間たちは帰ってしまいました。
なぜなら、「OUTIS(NESSUNO)」とは、「誰でもない」という意味だったから。
エトナの山で作る彼のワインの名前「OUTIS(NESSUNO)」は、ここから選んだそう。
ギリシャ神話を終えた後、次はローマ時代、
biondiのsenatore, imperatorice, imperatore,に乾杯。
そんな話に耳を傾けている間に、
辺りは気がつくと虫の音が一面を包み、
満月を少し過ぎた頃の月が顔を出していました。
真っ暗闇に月明かりとキャンドルの灯り、
それにギリシャ時代からあったのだろう、エトナの赤。
この幻想的なシチリアの晩餐は、夜深くまで続きました。
by lulaegiotto
| 2009-08-24 14:50
| ワイン