2008年 08月 05日
王冠の額
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フィレンツェの下町、サントスピリト地区にはたくさんの職人工房があります。
ひと気がない通り、うっすらと開いたドアの向こうを
覗いて見ると別世界が広がっている。
壁一面に工具がところ狭しと並べられ、作業台を挟んでその向かいには
きちんと並べられている素材やモチーフの山。
この額工房、老舗とはいえないけれど1920年創業。
残念ながら2年前に工房を閉めてしまったそうですが、この額はその工房から。
大きなサイズに加え、丸でもオーバル、四角でもなく王冠のような美しい曲線から、
イタリアのガストロノミアという風景が浮かんでしまったのですから
頂いてくるほかありませんでした。
鏡を入れて正面に飾り、生ハムをサービスをしてくれる人の
背中や手元が見えたりして。
できればコック服を着たベテラン紳士にお願いしたいところ。
本当は金色に、もしくはニスを塗られるはずだったこの額。
時間という色だけがついたこの額が、私の心を揺さぶりました。
状態を良く見る為に、高い位置にあったこの額を下ろしてもらうと、
裏面に赤いてんとう虫が。
お金を渡して最後に挨拶、この額を私に手渡す時シニョーラがひとこと。
「portafortuna!」
幸運を運んでくるわよ、と。
by lulaegiotto
| 2008-08-05 12:30
| 古物・アンティーク・古道具